週末に観た作品リスト。

炎のメモリアル プレミアム・エディション [DVD]

原題は消防隊員である主人公の所属する隊の名前“LADDER 49”(第49はしご車隊)。大規模火災現場で建物の一部崩壊に巻き込まれてしまった消防士ジャックと彼を救出しようとする同僚達の姿を軸に、ジャックの入隊時から現在に至るまでに起こった様々な出来事を差し挟みつつ物語は進んでゆく構成。
危険と隣り合わせの現場で人を救うため必死で働いている隊員達の様子ももちろん、ヒマな待機時間などに、仲間にイタズラを仕掛けては「わーい引っかかったー」なんて喜んでいる隊員たちの様子も印象的だった。思わず「お前ら小学生かよ!」と言いたくなるような、そんなコミカルなシーンが現場で人々を救うべく真剣に働く姿と対照的で、カッコよさを引き立てていたような、気もする。全編に漂う雰囲気、同じ釜の飯を食って、現場ではお互いの命を預かりあうような職務につく人達特有の雰囲気がなんともいえず良い感じ。
ところで、私はメモリアルというと条件反射で「メモリアルアートの大野屋」を思い出してしまう病にかかっているのだけれども。邦題命名業界におかれましては相変わらず、とりあえず泣き映画にはメモリーやらメモリアルとつけておけばオッケーだろ病が蔓延しているように思う。


ライフ・アクアティック コレクターズ・エディション(初回限定生産) [DVD]ザ・ロイヤル・テネンバウムズ [DVD]

この二作品ともが、一人のダメっぷり素晴らしい男を主人公に据えて、彼と彼を取り巻くユニークな人たちを描いている作品だったりするのは、監督さんの好みなのか、そこらへんは定かじゃないけれども、私としてはそういう設定が非常にツボ。前者ではかつての天才家族を、後者では落ち目のドキュメンタリー映画製作集団を、頼りないながらも率いてゆこうとする主人公の姿は滑稽ながら、応援せずにはいられない。そんな感じでほくほくしながら立て続けに鑑賞。
どの登場人物も癖のあるナイスキャラばかりなんだけれども特に、両作品とも、主人公とその右腕的人物との主従関係がたまらなくイイ。ロイヤル(ハックマン)とパゴタ(クマール・パラーナ)、スティーヴン(ビル・マーレイ)とクラウス(ウィレム・デフォー)両ペアのやり取りはほんと、おかしい。
凝り性に違いないこの監督さんの作品は、やたらと細かい部分まで丹念に作り込んであるので、集中して観たつもりで実は見落としていた部分などを、再鑑賞の際に気づいたりすることがあり、今回も「!」と思った箇所がいくつかありましたよ(『ザ・ロイヤル…』は多分4回目。『ライフ…』は初)。


スティル・クレイジー [DVD]

サントラが購入できてうれしい記念で再鑑賞。
70年代に活躍したものの喧嘩別れをしたロックバンドのメンバー達が、リバイバルブーム到来に便乗するべく再集結。過去の栄光への未練やら、経済事情、実らなかった恋心などなど、それぞれが何かしら胸に抱えつつ奮闘する様をコミカルに描いている。
元ロックスターとはいえ、すっかり落ちぶれてしまったおっさん達の姿は当初、お粗末で悲哀さえ漂っているんだけれども、ツアーでステージを重ねるうちに、人間関係も音も良い感じになっていき、後半には鳥肌がたつぐらいにカッコいい演奏を見せてくれる。おっさん、やるう!と、見守るこちらまで幸せな気分になってしまう、そんな魅力がある作品。すごく面白い、ってわけじゃないけど、あー、なんかいいねーっていう。そんな感じ。
ヴォーカル役を演じたビル・ナイは、吹き替えでなく自分で歌っているらしく、う、うまい……と観るたび関心してしまうし、バラードを二曲ばかり歌うベース役のジミー・ネイルも元本職の歌手だけあって、すごくいい声を披露してる。


マシニスト [DVD]

一年間ものあいだ不眠症に悩まされている機械工(マシニスト(machinist)は機械工の意)、トレバーが主人公。演ずるクリスチャン・ベールは絶食のみで体重を30キロ落としたらしく、物語の途中、まだ眠れていた頃のトレバー(通常時のベール)の姿が差し込まれているんだけれども、とても同じ人物に見えない。痩せ過ぎ危険、(それ以上)痩せたら死ぬで。
決して明るくはない物語にぴったりといえばぴったりなんだけども、全編通じてほぼ鳴り放しだった不気味な音が、観終わった後もしばらく頭から抜けなくてちょっと参った。後から調べたらあれは電子楽器のテルミンで演奏された音楽らしい。苦手。
主人公の動きを淡々と追いかける姿勢でもって観たので、期待はずれな印象は無いけども、謎解き重視で観ていたらがっかりしていたかもしれないと思う。人が    たときには、こうなることもあるんだなあと、しみじみしてしまった。


レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語スペシャル・エディション [DVD]

両親を火事で亡くしてしまった三人の子供達が、次々と降りかかる災難を健気にくぐり抜けてゆくお話。まるで絵本や漫画を読んでいるような感じの作品。
子供達の最初の後見人となるオラフ伯爵(ジム・キャリー)が、これでもかというぐらいに憎たらしい悪役を好演しており、観ている間ずっと「くたばれオラフ」と心の中で念じてしまった。役柄だから……と頭では解っていても、ジム本人まで嫌いになりそうだったし。われながら大人げない。ここまで観てる側をムカつかせるってことは、ジム・キャリーの演技が素晴らしいってことだと思う。けどやっぱそれさえムカつく。