今日はじめて訪ねてみたその美容院はとても気さくなお店だった。
気さくというか、全従業員がお客さんとの会話を楽しもうという雰囲気に満ちているというかなんというか、とにかく洗髪時にまでひっきりなしに会話のキャッチボールをさせられたのって、わたし生まれて初めてだったよ。話しかけられてるのに無視するわけにもいかないから、「そうですねー」「え、まじっすかー」などと適当に相槌を打ってはみたけれども、そのたび顔の上にのせられた白い布がファッサー、ファッサーってめくれるんじゃないかって少しはらはらした。
カットをされながらの話題はなぜかもっぱら、アシスタントさんの私生活−東京に住むカレとの遠距離恋愛についてだとか、日々の生活のおおまかな流れだとか−についてだったんだけども。久しぶりに人さまの恋愛話を聞いて必要以上に感情移入してしまったわたしは帰り際、アシスタントさんに「がんばってください」なんて口に出して伝えてしまった。たぶん彼女はお仕事について言われたんだと思ったろうが、実際のところは、恋をがんばってね!と言いたかったの。あと人生。