ダニー・ボイル監督(2001年)『Strumpet』

田舎町で孤独に暮らす詩人(クリストファー・エクルストン)と放浪生活中の少女(ジェンナ・ジー)とが出会い、詩人の言葉は少女の奏でるギターのメロディに乗って歌となり、外の世界へ向かって吐き出された。その曲にいたく感動した隣人は、これは売れる!と思い立ち、彼らを連れてロンドンへとおもむくのだが……というような物語。

詩人はその感情や思いを口にする代わりに書き綴ってしまう、根っからの詩人なんだが、そういう人の精神構造はちょっと凡人とは違うのか、家の前に嫌がらせとして大量の土砂をまかれてしまったとしても、それすら愉快な出来事に、立派な舞台装置になってしまったりする。そんな風に愉快な方向に感覚が研ぎ澄まされるのはいいのだけれど、この人たち(少女も)は悲しかったり寂しかったりといったネガな方向に対してもまた同様に敏感であるので、そういう感覚がみている側(わたしのような凡人)にまで、痛いぐらいに伝わってき、正直しんどいと感じることもあった。(けど、観終わればオーライかなとも思う)