アジシオのふたの開け方。

アジシオの瓶。

家事をまったくしない夫を、少しずつ手伝わせることで教育していこうとした妻が、料理の味付けをまかせてみようと「はい、じゃあ次はお塩をふりかけてみて」とアジシオの瓶を手渡したところ、彼はそのふたをためらうことなくクルクルクルクルとひねってあけ、フライパンの上で逆さにし二三度上下に振った。
しかし夫が開けたのはキャップの部分ではなくて、瓶の口部分だったので、フライパン上はまるまる一瓶分の塩により、真っ白状態。妻は驚きのあまりとっさに「なにやってるのよ!バカじゃないの?」と声を荒げつつ、彼が自分のミスを認め、謝ってくるものと待ち構えたのだが、実際には夫は「悪いのは僕じゃない。予めふたの開け方を教えなかった君が悪いんだ」と開き直ってしまった。
妻は夫に非があるとし、夫は妻に非があるとして譲らず、議論は平行線。

「この話、第三者から観て、どっちが悪いと思う?」と奥さんの方から尋ねられ、ちょっとした大岡忠相気分を味わいながら思案してみた。正直なところ、アジシオのボトルをみて、その開け方を想像できない旦那は相当にキているし、そんな彼に付き従っているその人もちょっとどうなの……とチラっと思ったが、相手の気を害してもなんなので「喧嘩両成敗じゃないですか」とお茶を濁したわたし。
でもあらためて考えてみるに、悪い悪くないはさておき、この喧嘩って妻次第で回避できた気がする。というか、ほぼ間違いなく「なにやってるのよ!バカじゃないの?」の一言が原因ではじまっている。ミスをした夫が「ごめんね」と言おうと思ったその瞬間に「バカ」とくれば、逆ギレもやむなしかと。
あと、妻の人は夫に対して期待を寄せすぎて失敗しているような。そのぐらい簡単よね?できるわよね?じゃなくて、出来ない子を教える先生みたいな気持ち(「あせらず、おこらず、おどろかず」って標語あったような……気が)でもってやさしく見守って、上手に出来たら褒めてやるぐらいのスタンスで臨めば、平和に過ごせるんじゃないかしら。
などと、よその家の揉め事から教訓を得てみたが、私は未来にそれを活かせるんだろうか。まず無理だな。