ポール・オースター『シティ・オヴ・グラス (角川文庫)』

妻と子を失って以来、独りぼっちで暮らしていた作家クィンの元に間違い電話がかかってきた事から始まる物語。電話の主は彼を探偵と思いこみ、仕事を依頼。クィンは好奇心からその誤解に乗り探偵になりすます事にするのだけれど、依頼者の言うような事件は起こりそうもない。

シティ・オヴ・グラス (角川文庫)

シティ・オヴ・グラス (角川文庫)

この人の本を読むのはまだ三作品目ながら、どうも読む度に気持ちが沈むというか、チクチク何かが刺さってくるような感覚に苛まれます。
その理由はわかっていて、というのも私が必要以上に主人公に感情移入して読み進めるものだから、否応無しに向き合いたくない諸々の事事、世間と自分の関わりだとか、自分自身の存在理由やらについて考えさせられるからなんだけれど。これはもう、作者の意図するところなどでは無くて、受け手である私の誤った過剰反応なんだろうなと自覚しています。
雨の日に読むとかなりまずい。好きな文章なんだけどまずい。