フリオ・イグレシアスの曲で条件反射的に勃起する人。

阿部和重の『インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)』を読了。
かつて映画学校に通い、その卒業制作を機に故郷の怪しいスパイ養成塾と出会い行きがかり上入塾、どっぷりとはまりこんでいたそこでの活動も塾長のおイタによりに行き詰まり脱退、現在は渋谷にある場末の映画館の映写技師として働いているオヌマ。平穏に暮らしていた彼に、過去のスパイ養成塾時代の出来事に起因するトラブルが降り懸かり…。
という物語は主人公オヌマの日記の体をとって進められているので、ものすごくすんなり入り込めた。書き手の主観に基づいて描かれているから後半、その主観自体が混乱を来す場面はやたら身に迫ってくるものがあり、読んでいるこちらまで、え?え?!とうろたえる始末だった。まんまと乗せられた。

インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)

周囲の人々は一癖ある、というか普通の人等かもしれないけど、オヌマの日記の中ではみな独特でそれぞれ生きてる感じがした。日記の神様が降りてる、オヌマさんには。こんな日記が書けたらいいのに。てこれ、小説だって事を忘れていますね、自分。