『イギリスから来た男(原題THE LIMEY)』
スティーヴン・ソダーバーグ監督 1999年 アメリカ
二度目の鑑賞。理由あって長い間離れ離れで暮らしてきた娘が、交通事故で亡くなったとの知らせを受け、ウィルソン(テレンス・スタンプ)はイギリスからロスへやって来た。その死に疑問を抱く彼は、娘の友人たち(ルイス・ガスマン、レスリー・アン・ウォーレン)に手伝ってもらい、娘の死の背後に隠れる真実を調べてゆく……という物語。
監督はこの作品について、「(シーンが前後したり繰り返したり)時間のながれが流動的」で「僕でさえ整理できていない」なんてことを(冗談だろうけど)言っていた。私の中でも確かに、これは往路?復路?と片付かないシーンもあったりはしたけれど、だいたいは主人公の記憶や思いを通して描いているからそうなるんだろうな…と納得出来たので、先日観た『21グラム』のときのような脳みその痺れはなかった。痺れるとしたら、選曲のカッコよさ(特にThe Whoの曲で始まるオープニング)、テレンス・スタンプのやたら渋カッコいいジジイっぷりに痺れる映画だと思う。
あと、娘の友人役のルイス・ガスマンも痺れる。私はあの人を観ると不思議とホッとしてしまうのだけれども。この作品では出番も多いのでうれしい。この間見た『レモニー・スニケット…』での“禿げ男”な彼ですら、私を癒しまくりなのだけれど、これはなんなんだ。恋ではないと思うが。
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- 回想シーンに現れる若い頃の主人公、やけによく似た俳優さんだなと思ったら、本人の若い頃の映像だった。(使われている映像はケン・ローチ監督作品『夜空に星のあるように [DVD]』(1965年)からの引用)
- 原題“limey”の意味:船乗りが、長い船上生活で壊死症になるのを予防するためライムを齧っていたことから、船乗りの蔑称として使われるように。英国人の蔑称でもある。