トッド・フィリップス監督『ロード・トリップ』

2000年作品。遠距離恋愛をしている彼女に間違えて発送してしまったビデオテープを取り返すため、大学生のジョシュ(ブレッキン・メイヤー)は友人のEL(ショーン・ウィリアム・スコット)、ルービン(パウロ・コスタンゾ)、カイル(DJクオールズ)と共にNYからテキサスまで遠路はるばる自動車の旅に出発するのだけれども……というお馬鹿なロード・ムービー。

旅の終わりには何かしら見つけたり、成長したり、というのがロード・ムービーの醍醐味だと思うのだけれども、この監督さんの手にかかるとこうもくだらない結末になるのかと、悪い意味ではなくて心底愉快な気持ちでもって感心した。
友人たちはどの人も個性的でバカでそこがまたかわいらしかったんだけれども、旅には参加せず物語の語り手として登場したバリー(トム・グリーン)のバカさ加減はその中でもスバ抜けてキていてよかった。いまも目に浮かぶよ、ルービンのペットである蛇(名前はミッチ)に餌付けがしたくてしたくてたまらないバリーの顔。小学校低学年男子の顔をしてた。
関係ないけど、物語の中で恋人の浮気を知った女子が、その恋人を容赦なく叩きのめしていたシーンを観ていて、アメリカ人女性ってのは浮気発覚時の厳格さたるやものすごいものがあるな、あれは一般的な対処方法なのかしら、そうだとしたらやっぱすげええなどと物思いに耽ったのでありました。マネできない厳格さ。
こういうロード・ムービーを観ていると、ふと自分でも今すぐに車に飛び乗ってどこか遠くへ出かけたくなったりするんだけれど、次の瞬間自分がハンドルを握る姿や通過するであろう道を頭に思い浮かべ、その想像だけで掌にじわじわと汗が涌いてくるにいたり、ああやっぱりやめておこう……となる。それもこれもわたしが、知らない道恐怖症であるのにくわえて、いつでも余裕レスな必死運転の人だからなのだけれども、これはこれで本作品とは真逆の、追いつ追われつのサスペンス風ロード・ムービー気分が味わえそうな気はする。そんなの全然やってみたくないけど。