もう一つの人生。

誰でも一度は自分の人生を振り返って、あの時こうしていたらなどと(後悔とまではいかなくても)もう一つの道に思いをはせたりする事があるように思うのですが。それも気持ちが上向きの時ならばいいのだけれど、下向きになっているときにそんな事を考えるとドーンと沈み込んで浮き上がってこられなくなるのでとても危険であります。
この本の主人公、中年の未亡人はまるで自分が「ほんとうの人生」を生きていないような錯覚に陥ってジタバタドタバタと動き回るのだけれども。その動きようが非常に自己中心的で全く感情移入出来ないというか、自分も持っている嫌な部分を見せつけられているような気持ちがしてしまって、いけませんでした。
そんな主人公に対し、ともに暮らす大叔父が投げかけた言葉「ほんとうの人生なんてない。こうして実際に生きている生活こそがほんとうの人生なんだ。云々」(←超テキトウ要約)は彼女を通して私にもズガーンと。ズッガーンと胸に突き刺さりました痛い痛い。ほんとにね、後悔の無い人生を送りたいです。

あのころ、私たちはおとなだった (文春文庫)

あのころ、私たちはおとなだった (文春文庫)