キャディは哀し。

主人公ブラウンを彼の愛する女性は「矛盾していて怖い」と言うのだけれど、その矛盾こそが彼の魅力だと思った。暴力や汚い世界に身を浸している側らクラッシックを愛し、正しい心と人を見る優しい目を持つ男性。そんな彼に引っ張られ一気に読了。
エルロイの本が好きなのは、現れる登場人物がもれなく活き活きとしていて、情景が目に浮かぶし匂いさえ伝わってくるからなのだけれど。今回も期待通りだった。特にキャディ達の描写や、主人公とその親友とのやり取りには時に目が潤んだ。
謎解き自体も全てがきっちりと収束してゆきすっきりとしたものだったけれど、哀しい結末には主人公が可哀想過ぎると思った。感情移入しすぎたので余計に。★★★★☆