『彼が彼女になったわけ』

患者取り違えで性転換手術をされてしまった主人公の物語。
寝て起きたら胸にはでかパイを付けられ、股間は出っ張りを切られ、となれば誰でも困惑し激怒し絶望もするだろうし、主人公も死にたい…となったりするのだけれども、この人はその後の切り替えがとても逞しい。どうせ元に戻れないのなら、現状でより良く幸せになるんだもんね的向上心は読んでいてこちらが励まされてしまうほどでありました。
物語の中で、女性になるには出費がかさむ、と彼が女友達の助言を受けつつ身の回り必需品の試算をするくだりがあり、景気のいい彼の買い物っぷりには、その金額の何分の一だろう、私が自分に投資している額は…と、自分自身の女子部サボり具合を改めて突きつけられたような気持ちになり若干反省しそうになりました。が、しません。あれは気合入れすぎ。だと思う。
それほど掘り下げて書かれている話でもないので、あまり深く考えても仕方がないのですが、彼が彼女になる過程、特に精神面の移行過程は、大方を女性ホルモン投与によるもので説明を済ませていたのには、世のジェンダーフリーを掲げる方々の説とは相反するの、かしら、とか思ったり思わなかったり。
とにもかくにも、さくさくと読了。

彼が彼女になったわけ (角川文庫)

彼が彼女になったわけ (角川文庫)