東山彰良『逃亡作法』

枠におさまり切らないアウトローな人達の物語にこんなにも引きつけられるのは、私が平凡極まりない存在だからなのだろうなシリーズ。久々、ドはまり。
刑務所モノの物語なので、主人公はじめ大抵の登場人物が道を外れた人ばかりなはずなのに、どうにも憎めない良キャラ揃い。脇役を真ん中に据えて、まだまだ何冊も書けそうだな…と思えるほど、皆が活き活きしてる。描写が異様に細かいとかいう訳ではなく、どうってことない会話からでも上手いこと人柄をプンプン漂わせるというか。
会話といえば、主人公ツバメ等、獄中仲間の間でポケット・ジョークを披露し合うくだりが何度か出てくるのだけれど、その都度モモの「金髪と弁護士ネタ」のオチだけがおあずけされまくりで、このまま終わるんじゃないだろうな?!と本筋と関係ないところで肝を冷やしました。
あと、脱獄防止策アイポッパーのネタ元が、ルドガー・ハウアーの『ウェドロック』だと解説にあったけれど、読んでる間、私の頭の中にあったのは『西遊記』と『ソード・フィッシュ』でした。はい、ハズレ。

逃亡作法 TURD ON THE RUN (宝島社文庫)

逃亡作法 TURD ON THE RUN (宝島社文庫)