D.ベニオフ『25時 (新潮文庫)』

手元にあるこの本は映画化後の版なので、表紙にエドワード・ノートン演ずる主人公モンティと愛犬ドイルが並んで歩く写真が使われてる。映画をまだ観ないまま読み始め、この一人と一匹の間柄なんて知らない時点では、なんだかしょぼくれた感じの表情だなあ両方とも、なんて思ったのだけれど、読み進めるうちにその表情から伝わる印象は変わってきた。
物語は、残り24時間の自由の後に七年間の監獄生活が待ち受けているモンティと、彼を取り巻く人々がその一日をどのように過ごすかを淡々と追うように進んでいく。そこには男同士の友情や、恋人との愛情も描かれているのだけれど、不自然な熱血や夢物語じみた一途さは無くて、すごくリアルな感じがした。ただ愛犬ドイルとの関係だけは別というか、リアルには違いないんだけれど、モンティ自らが後にその思いを告白するように、読み手(私)の胸をぎゅうーと締め付ける特別な何かがありました。
で、読み終わって表紙をみるとね、たまんないわけです。いい写真過ぎる。