ジェシー・ハンター『よい子はみんな天国へ』

男の子だけを狙う連続児童誘拐犯・チョコレートマンが、間違えて女の子を攫ってしまったことから始まるハードな二日間。その間の出来事が犯人や被害少女、少女の母親、周辺住民や刑事らそれぞれの目線で順を追って描かれてゆく。
チョコレートマンは主にエドワード・ノートンを、少女エミリーには小さな大女優ダコタさんをあてはめて読了。
女の子を攫ってしまったことで混乱し落ち着かない犯人と、それとは反対につとめて冷静さを保とうとする利発な少女。この二人の間に流れるほんわかした空気や、不思議な力関係がときにほほえましくて、事件の持つ陰惨さとちぐはぐで面白かった。大人だったら、ストックホルムシンドロームの一語で片付く話なんだけれど、この少女は犯人の中にある善良な部分を打算無しで好いていたような気がして、そういうところがなんともいえずよかった。

よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

よい子はみんな天国へ (創元推理文庫)

関係ないけれど、この本は文庫本なのに千円オーバーだったもので、レジで少しびっくりした。そ、そんなにするのか!と。