クリント・イーストウッド監督『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』

1986年作品。このあいだ仕事中にふと「軍隊モノで、指導担当軍曹とTシャツの色が揃わないと上半身裸で走らなければならないシーンがあった映画って、何だっけ何だっけ……」と喉まで出掛かってるのに出てこなくてうおおおお!!という状態に陥ったことがあったのだけれど、思い出してみればこの作品だった。
米海軍偵察小隊の悪ガキどもを、退役間近の老軍曹トム・ハイウェー(イーストウッド)がビシバシと鍛えなおし一人前の兵隊へ育てあげてゆくという物語。ロックンロール・スター気取りのジョーンズ(マリオ・ヴァン・ピープルズ)をはじめ、ガリ勉小隊長(ボイド・ゲインズ)などなど若い兵士たちと絡むことでイーストウッド自身はまじめにやっているのにもかかわらずコミカルな空気というか、彼の愉快な側面が引き出されるようで、観ていてへんになごめる。他にも、別れた元妻との恋模様を描くシーンなどでは、マッチョなおやじであるハイウェーさんがみせる意外な姿に思わずほくほくしたり。軍隊モノというよりは、一人の軍人モノというか、ハイウェーさんモノなのかなあ。なんでもいいか。

ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場 [DVD]

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話の筋とは関係ないけど、上官であるパワーズ少佐(エヴェレット・マッギル)は杉本哲太に、主人公の親友チューズ軍曹長(アーレン・ディーン・スナイダー)は高松英郎似て蝶
似て、といえば。ハイウェーさんの渋めなあのしゃべり方を、若い衆が茶化して真似をするシーンがちょこちょこあって、それがまたよく似ていたものだからわたしも試しにやってみたところ、案外いけた。アメリカのモノマネ芸人さんの八割方はイーストウッドのしゃべり方を真似したことがあるんじゃないかってぐらい簡単なので、これは日本でいえば長嶋さんや、田村正和さんみたいなもんだな、なんて思った。