G. ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』

昔故郷で起きたその殺人事件は、「私」の友人であり被害者のサンティアゴ・ナサールとその家族・友人を除く町の住民ほとんどが、予め知っていたものだった。物語は「私」が関係者の話を聞き、記録にあたり、友人が殺されることになった理由、経緯を追いかけてゆく記録文学じみた作り。

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

描写は生々しくもあるのに、受ける印象はさっぱりで淡々としている。シンプルな文章の所為もあるけれど、語り手の「私」の目が冷徹だからなのかな。
ただ、サンティアゴ・ナサールの最期の描写はしっかりと生生していて、それが目にありありと浮かんでしまったためうげえええ……と、しばらくはこてっちゃんが喰えなくなりそうな気持ちになった。ギブギブ……と本を放り投げてしまったわたしは、いつからこんなに残酷表現に弱くなったんだろう。