T.H.クック『死の記憶』

ある雨降る午後、家の中に母と兄と姉の死体を残したまま父親が失踪してしまった。主人公スティーブは長年、彼が9歳当時のこの出来事に関する記憶に蓋をしていた。けれど“父親の家族殺し”をテーマに本を執筆中という女性作家との出会いをきっかけに、少しずつあの頃について思い出し、家族は何故殺されなければならなかったのか、父をそこへ追い込んだものはなんだったのかを明らかにしていくことに。
ティーブの一人称で語られる本作もまた、ズドーンと来る、暗い仕上がりになってます。雨の日にはあまり読みたくない一冊。読んだけど。

死の記憶 (文春文庫)

死の記憶 (文春文庫)

この作家さんの本を立て続けに3冊読んでみて、今のところどれもみな、主人公があーうーな人(上手く言えないけれど、とにかく好きになれないタイプ)ばかりで、もしかすると作者さんにしてみたらこの主人公たちは、出来事を眺めたり掴んだり語ったりするための道具に過ぎないのかな?なんて思ったりも。だからってつまらないわけではないので、別に構わないんだけど。